夏はやはり暑かったのだと改めて思う
ここは東京ではない、日本のどこか。
七月に入った途端に真夏のような気温になった。
営業車のエアコンが気持ち悪い臭いを吐き出している。エンジンを切ったらすぐ暑くなるのでたまらない。
東京にいた頃は、地下鉄で涼んだり、喫茶店に飛び込めばよかったものだがどうもこの土地ではそうはいかないらしい。
東京の夏は暑いと言われているが、ここよりかはマシだ。
ここは熱中症患者も多く、海から湿度の保った風が吹き続けるため、異様に暑い。
時々、幼少期を思い出させるような、風が吹くときもあるけれど、そんなものは気休めにはならない。
気温が体温に近づけば近づくほど、多分熱にうなされるのと同じ状態に人間はなっているのではないかと思う。
だから夏の記憶はいつも曖昧なままだ。